スターリング・ルビー 「SPECTERS TOKYO」

2023.11.21

EVENTS

概要

タカ・イシイギャラリーは11月23日から12月23日まで、赤坂の草月プラザにてスターリング・ルビーによる個展「SPECTERS TOKYO」を開催いたします。今回は本展と同時に、タカ・イシイギャラリー(TERRADA ART COMPLEX II)とタカ・イシイギャラリー 京都でもルビーの個展を開催し、3つの展覧会すべてで新作を発表します。作家にとって日本ではじめてのパブリック・アートとなる本展は、イサム・ノグチの石庭「天国」を再考し、生者と死者との交流について探求したものです。

分野横断的な立体作品で知られるルビーが今回発表するのは、日本の怪談に想を得たサイト・スペシフィックなインスタレーションです。江戸時代に生まれた怪談は、日本に帰化したギリシャ人作家ラフカディオ・ハーン(小泉八雲)により広く知られるようになりました。ハーンの生き生きとした直感的な視点を通して霊や超自然的な存在である妖怪の物語に没入したルビーが、おもに日本的なものの見方で、舞台のようなノグチの屋内庭園を正体不明の霊たちが棲む冥界へと変容させます。

今回の作品の元となったのは、2019年のDesert Xでのインスタレーション作品「SPECTER」です。これは荒涼としたカリフォルニア砂漠に、まるで砂漠とは対照的な蛍光色の巨大な石の直方体が置かれた作品でした。今回はそれをさらに発展させるかたちで、「妖怪(スペクター)」を、文化的背景にかかわらず感知可能ななんとも忘れ難い比喩的なオブジェへと完全に変換してみせます。

“スターリング・ルビー”とは

スターリング・ルビーは1972年生まれ。光沢のあるポリウレタンやブロンズ、鋼鉄を用いた立体作品から、ドローイングやコラージュ、ふんだんに釉掛けした陶器、油彩画、写真、映像、さらにはキルト、タペストリー、衣服、ソフトスカルプチャーといった布作品まで、多様な素材や技法を駆使する。ルビーの作品では常にさまざまな要素が緊張関係を保ち、危うい均衡を成り立たせており、社会の中の暴力や圧力、美術史に関わる問題のほか、自身の過去も扱われる。全ての作品において、流動と静止、ミニマリズムと表現主義、純粋さと汚れの間で揺れ動く作家像を見ることができる。

ルビーはこれまでGalleria Doria Pamphilj(ローマ、2021)、Museum of Cycladic Art(アテネ、2021)、ICAマイアミ(マイアミ、2019)のちICAボストン(ボストン、2020年)へ巡回、Museum of Arts and Design(ニューヨーク、2018)、ベルヴェデーレ美術館 冬の宮殿(ウィーン、2016年)、FRACシャンパーニュ=アルデンヌ(ランス、2012年)のちジュネーヴ現代美術センター(ジュネーヴ、2012年)、ローマ現代美術館(2013年)に巡回のほか、ロサンゼルス現代美術館(2008年)等で個展を開催。2014年には 光州ビエンナーレ、台北ビエンナーレ、ホイットニー・ビエンナーレに参加。

ルビーの彫刻作品「DOUBLE CANDLE」 (2018)はハーシュホーン博物館と彫刻の庭(ワシントンDC)に常設されている。またそのほかニューヨーク近代美術館、ソロモンR.グッゲンハイム美術館(ニューヨーク)、シカゴ現代美術館、ロサンゼルス現代美術館、ハマー美術館(ロサンゼルス)、サンフランシスコ近代美術館、テート・モダン(ロンドン)、パリ市立近代美術館、ポンピドゥー・センター(パリ)、ストックホルム近代美術館を含む多くのコレクションに作品が収蔵されている。

会期

2023年11月23日(木)~12月23日(土)

開場時間

10:00~17:00
【定休日】 12月23日(土)10:00~15:00を除き毎週土・日曜日

会場

草月会館1F 草月プラザ 石庭「天国」
(東京都港区赤坂7-2-21)
アクセス